Google Cloud の Vertex AIを用いた機械学習モデルの開発やデプロイメントでは、設定ミスやスクリプトエラーによるトレーニング失敗、デプロイメント失敗が起こり得ます。ここでは、AutoML モデルの設定・デバッグおよびカスタムモデル(TensorFlow等)の設定・デバッグに関する代表的なエラーとその解決策を体系的に解説します。
1. AutoMLモデルの構成とデバッグ
1.1 Training Budgetの指定ミス
- 症状: トレーニング実行時にエラー。
- 原因:
training_budgetが文字列(例:"2000")で指定されている。 - 解決策:
training_budgetは整数値で指定する必要がある(例:2000)。型が間違っていると実行時にエラーとなります。
EXAM FOCUS: Training budgetは常に整数で指定する必要があります。
1.2 Target Columnの指定ミス
- 症状: データセットとスクリプトの
target_columnが一致せず、トレーニングが失敗。 - 原因:
target_columnの指定がデータセットのカラム名と一致していない(例:"target"と書いたが、実際のカラム名は"churn")。 - 解決策:
データセット内の正確なカラム名を確認し、target_columnを修正する。
CAUTION ALERT:
target_columnがデータセット スキーマと完全に一致していることを常に確認してください。
2. Dataflow と Apache Beam によるデータ前処理
2.1 Schema Validationの不足
- 症状: データ前処理時にスキーマ不一致エラーが発生。
- 原因: データのスキーマ(フィールド数、型など)の検証処理が含まれていない。
- 解決策:
スキーマ検証ステップを追加することで、ミスマッチを事前に検知できる。
EXAM FOCUS: 不一致を早期に検出するためにスキーマ検証を組み込む。
2.2 データ型変換時のエラーハンドリング不足
- 症状: データ型変換で例外が発生すると、パイプラインが失敗。
- 原因: 型変換(例:
Integer.parseInt())の例外処理が実装されていない。 - 解決策:
型変換処理には必ずエラーハンドリング(try-catch)を追加して、堅牢性を高める。
CAUTION ALERT: 堅牢性を確保するために、データ型変換のエラー処理を追加。
3. カスタムモデルのデプロイメント(TensorFlow)
3.1 model_pathの誤設定
- 症状: モデルデプロイメント時に
model_pathが見つからず失敗。 - 原因:
model_pathが無効なパス、もしくはアクセスできないパスになっている。 - 解決策:
GCSパスが正しいこと、かつ適切なアクセス権限があることを確認する。
EXAM FOCUS: デプロイメントのために
model_pathにアクセスできることを確認。
3.2 artifact_uriの誤設定
- 症状: デプロイメント時にアーティファクトのURIが無効で失敗。
- 原因:
artifact_uriがGCSパスではなくローカルパス、もしくは無効なGCSパス。 - 解決策:
artifact_uriを 有効なGCSパス に設定する必要がある(例:"gs://your-bucket/model/")。
CAUTION ALERT:
artifact_uriを検証して、正しい GCS パスを指していることを確認。
まとめ表
| 課題 | 症状 | 解決策 | 該当スクリプト範囲 |
|---|---|---|---|
| Training Budget 型の誤り | トレーニング開始時にエラー | 整数型で指定する | AutoML モデル |
| Target Column 名の不一致 | カラム不一致エラー | データセットと一致させる | AutoML モデル |
| Schema Validationの欠如 | スキーマ不一致エラー | スキーマ検証ステップを追加 | Dataflow + Apache Beam |
| データ型変換時のエラーハンドリング不足 | 変換エラー時にパイプラインが停止 | 型変換時にtry-catchでエラーハンドリング追加 | Dataflow + Apache Beam |
| model_path の誤設定 | モデルデプロイ時にパスエラー | 有効なGCSパスに設定 | TensorFlow モデルデプロイメント |
| artifact_uri の誤設定 | デプロイ時にアーティファクトが見つからない | 正しいGCSパスに設定 | TensorFlow モデルデプロイメント |


