Google Cloud の Vertex AI Workbench は、機械学習(ML)モデルの開発を効率化するための強力なノートブック環境です。チームでの協働作業やコードのバージョン管理、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)を行うには、GitHubとの連携が不可欠です。
本記事では、GCP認定「Professional Machine Learning Engineer」試験にも出題されるVertex AI WorkbenchとGitHubの統合に関するベストプラクティスを、試験教材をもとに体系的に解説します。
1. セキュアなGitHub認証の確立:OAuthの活用
まず第一に重要なのが、GitHubへの安全なアクセスをVertex AI Workbenchから確保することです。
この際に用いられるのが OAuth認証 です。OAuthは、Vertex AI WorkbenchとGitHub間でセキュアな認証・認可を実現する標準的なプロトコルです。これにより、ユーザーがVertex環境からGitHubのリポジトリにアクセスする際の認証情報を安全に管理することができます。
❌ 誤解しやすいポイント
IAMロール(GCPのアクセス制御)を使ってGitHubへのアクセスを制御しようとするのは誤りです。IAMはGCP内のリソース(例:BigQuery、Cloud Storage)に対するアクセス制御に用いられるものであり、外部サービスであるGitHubの認証には使えません。
2. ノートブックのバージョン管理:Git統合の構成
次に、ノートブックのコードや変更履歴を適切に管理するためには、Vertex AI Workbench において Git統合 を直接構成する必要があります。
Git統合により、チームメンバーがノートブック内で直接バージョン管理を行い、共同編集やレビューをスムーズに行うことが可能になります。これは、機械学習プロジェクトにおけるコラボレーションの品質を大きく左右する重要な構成です。
✅ 試験でも強調されているポイント
Git統合は「ノートブック内でのコラボレーションのための前提条件」として非常に重要視されています。
3. CI/CDによるデプロイの自動化:補助的な構成
多くのプロジェクトでは、コード変更をトリガーにモデルの再トレーニングやデプロイを自動化することが求められます。ここで活躍するのが Cloud Build や Pub/Sub などのCI/CD構成です。
これらのツールは、GitHubへのコミットやプルリクエストを検知し、Cloud Buildでパイプラインを実行したり、Pub/Subでイベントを通知する構成に使われます。
ただし、これらはGit統合の補助的な構成であり、初期のバージョン管理設定や認証には直接関与しません。そのため、試験においても選択肢としては適さないケースが多くなります。
4. よくある誤解と注意点
いくつかの選択肢は、実務でも誤用されやすいため注意が必要です。
誤ったアプローチ | なぜ不適切か |
---|---|
BigQueryでコードのバージョン管理を行う | BigQueryは分析用データベースであり、ソースコードの管理には不向きです。 |
IAMロールでGitHubアクセスを制御する | IAMはGCPリソースのアクセス制御用であり、GitHubには無効です。 |
まとめ:試験でも実務でも押さえておきたい2大ステップ
GCP認定試験においても、現場での実装においても、Vertex AI WorkbenchとGitHubを連携させるためにまず取るべきステップは以下の2つです:
- OAuthでGitHub認証を行う(セキュリティの確保)
- Vertex AI WorkbenchでGit統合を構成する(バージョン管理とコラボレーションの基盤)
これらが整備されてはじめて、CI/CDの自動化やイベント駆動型の処理などが活きてきます。
✅ 試験対策ポイント(EXAM FOCUS)
- OAuthによるGitHub認証は必須。
- Git統合の初期構成が最も重要。Cloud BuildやPub/Subは補助的。
⚠️ 注意点(CAUTION ALERT)
- BigQueryはコード管理には不向き。
- IAMでGitHubのアクセス制御はできない。