AutoMLを効果的に活用するためには、**データ準備(Data Preparation)**が不可欠です。このプロセスでは、データをクリーンで一貫性があり、機械学習モデルに適した形式に整えます。本記事では、Google Cloudの各サービスを用いたAutoML向けのデータ準備方法を、ユースケース別に体系的に整理します。
🧩 1. データ準備の主要ステップ
ステップ | 説明 | 主要サービス |
---|---|---|
特徴量選択 (Feature Selection) | 重要な特徴量を選定してモデル性能を最適化 | BigQuery, BigQuery ML |
欠損値処理 (Missing Data Handling) | 欠損値を適切に補完してデータの完全性を保つ | Dataflow, Cloud Dataprep |
特徴量エンコーディング (Encoding) | カテゴリカルデータを数値データへ変換してモデルが処理しやすい形式に整える | BigQuery ML |
正規化 (Normalization) | 数値データのスケールを統一し、学習を安定化 | Cloud Dataprep, BigQuery ML |
データラベリング (Data Labeling) | 目的変数(ターゲット変数)のラベル付けを行い、教師あり学習に備える | Vertex AI Data Labeling |
言語統一 (Language Consistency) | テキストデータにおいて多言語のばらつきを防ぎ、一貫した解析を可能にする | Cloud Translation API |
特徴量管理 (Feature Management) | 特徴量を一元管理し、モデルへの供給を効率化 | Vertex AI Feature Store |
🏢 2. ユースケース別のアプローチ
① 小売業での売上予測(タブラー形式データ)
目標:AutoMLで売上を予測するために、データ準備を行う。
タスク | 推奨アクション | ツール |
---|---|---|
特徴量選択 | 重要な特徴量をBigQueryで分析 | BigQuery |
欠損値処理 | Dataflowでデータクリーニングおよび欠損補完 | Dataflow |
特徴量管理 | Vertex AI Feature Storeで特徴量を管理・提供 | Vertex AI Feature Store |
② 医療業界での患者アウトカム予測(カテゴリカル+数値データ)
目標:AutoMLで患者の予後を予測するため、データを整える。
タスク | 推奨アクション | ツール |
---|---|---|
カテゴリカルエンコーディング | BigQuery MLでカテゴリカル変数を数値化 | BigQuery ML |
数値データ正規化 | Cloud Dataprepで数値変数を正規化 | Cloud Dataprep |
欠損値処理 | Dataflowでインピューテーション技法を適用 | Dataflow |
③ Eコマースのカスタマーレビュー分析(テキストデータ)
目標:AutoMLでレビューを分析し、顧客満足度スコアを予測する。
タスク | 推奨アクション | ツール |
---|---|---|
言語統一 | Cloud Translation APIで全レビューを1言語に統一 | Cloud Translation API |
欠損値処理 | Dataflowでテキストデータを前処理、欠損補完 | Dataflow |
データラベリング | Vertex AI Data Labeling Serviceで満足度ラベル付け | Vertex AI Data Labeling |
④ 金融業界でのローンデフォルト予測(数値データ中心)
目標:AutoMLでローンデフォルトを予測するために、金融指標データを準備する。
タスク | 推奨アクション | ツール |
---|---|---|
特徴量選択 | BigQueryで最も関連性の高い金融指標を選定 | BigQuery |
欠損値処理 | Dataflowでインピューテーションを適用 | Dataflow |
特徴量管理 | Vertex AI Feature Storeで選択した特徴量を管理 | Vertex AI Feature Store |
🎯 試験対策のポイント(EXAM FOCUS)
- BigQueryを活用して、特徴量の重要度分析やカテゴリカルデータのエンコーディングを行いましょう。
- Dataflowを使って、欠損値の補完(インピューテーション)やデータクレンジングを実施しましょう。
- 数値データの正規化には、Cloud Dataprepを使用するのが効果的です。
- テキストデータ分析では、Cloud Translation APIで多言語データを統一し、解析の一貫性を確保しましょう。
⚠️ 注意すべき落とし穴(CAUTION ALERT)
- Cloud StorageやCloud SQLはあくまでデータの保管先であり、データ準備プロセス(前処理)の一部ではありません。これらを選択肢に入れる際は目的をよく確認しましょう。
- TensorFlowは画像やテキストデータの拡張(データ増強)には有効ですが、AutoMLのタブラー形式データ準備では不要です。無駄な工程を増やさないようにしましょう。