ホーム » 数理モデル » 割引率と現在価値の数理モデル:将来のお金を「今の価値」で考える方法

割引率と現在価値の数理モデル:将来のお金を「今の価値」で考える方法

✅ はじめに

「将来のお金の価値って、今の価値にするといくらなの?」
この問いに答えるのが、「現在価値(Present Value)」という考え方です。私たちは投資、ローン、事業評価、年金など様々な場面で「将来のお金」を扱いますが、それを**“今”の価値に換算するために使うのが割引率**です。


🔷 割引率とは何か?

割引率(Discount Rate)は、ひとことで言えば:

「将来のお金を、今の価値に直すための利回り」

たとえば、年利10%の世界では、現在100万円を運用すれば来年には110万円になります。
つまり来年の110万円は、今の100万円と同じ価値だと考えます。
この「10%」が割引率です。


🔷 現在価値の基本モデル

将来1年後に $CF$ のキャッシュフローを得る場合、現在価値 $PV$ は:

$$PV = \frac{CF}{1 + r}$$

これが複数年にわたる場合は:

$$PV = \sum_{t=1}^{n} \frac{CF_t}{(1 + r)^t}$$

  • $CF_t$:t年後のキャッシュフロー
  • $r$:割引率
  • $n$:期間

🔷 無限に続くキャッシュフロー(永久年金)

たとえば、毎年ずっと一定額 $CF$ を受け取れる場合:

$$PV = \sum_{t=1}^{\infty} \frac{CF}{(1 + r)^t} = \frac{CF}{r}$$

これは、等比級数の和(無限級数)を使った数理モデルであり、割引率がある限り収束します。


🔷 具体例で理解する(永久年金の場合)

  • 割引率 $r = 5\%$、毎年のキャッシュフロー $CF = 100万円$

$$PV = \frac{100}{0.05} = 2,000万円$$

毎年100万円が永久に続く場合、その価値は現在の2,000万円に相当します。


🔷 成長率を組み込んだモデル:Gordon成長モデル

将来のキャッシュフローが毎年一定の成長率 $g$ で増加すると仮定した場合:

$$PV = \frac{CF_1}{r – g}$$

  • $CF_1$:来年(1年後)のキャッシュフロー
  • $r$:割引率
  • $g$:年間成長率($r > g$ が条件)

これは、企業価値評価やターミナルバリュー(残存価値)の算出に使われます。


🔷 具体例で理解する(成長率あり)

  • 割引率 $r = 8\%$、成長率 $g = 5\%$、来年のCF $= 10億円$

$$PV = \frac{10}{0.08 – 0.05} = \frac{10}{0.03} = 333.33億円$$


🔷 まとめ

用語意味・使い方
割引率(r)将来のお金を今の価値に直すための利回り
現在価値(PV)将来のキャッシュフローを今の価値で表現
等比級数一定の割合で増減する現象の数学的表現
成長モデルキャッシュフローが年々成長する状況に対応

💡 補足:こんなときに使える

  • 企業価値や株価の評価(DCF法)
  • 不動産収益や年金原資の算出
  • サブスクリプション事業のLTV試算
  • ローン・借金の返済シミュレーション