◆ 経験価値の視点について
- 経験価値は、製品やサービス自体の価値ではなく、それを通じて得られる「経験」によって生み出される価値。
- 経済システムは「コモディティ(抽出)」→「製品(製造)」→「サービス(提供)」→「経験(演出)」と進化。
- 差別化が難しくなった成熟市場では、機能や品質だけでなく「経験」による高付加価値化が重要。
- 脱コモディティ化には「選択肢ではなく、選択理由」の提示が求められる。
◆ 経験価値の概念と構成次元(シュミットによる分類)
- 経験価値は顧客の「感覚・感情・思考・行動・関係性」を軸とする。
- 5つの経験価値の次元(SEM:Strategic Experiential Modules):
- SENSE(感覚的経験価値):五感を通じた価値
- FEEL(感情的経験価値):内面的な感情による価値
- THINK(認知的経験価値):創造的・クリティカルな思考に基づく価値
- ACT(身体的経験価値):ライフスタイルや行動変容による価値
- RELATE(関係的経験価値):社会的・文化的なつながりによる価値
◆ 経験価値の提供手段
- 企業が提供する刺激(経験価値プロバイダー)として、以下の7カテゴリがある:
- コミュニケーション(広告、PR)
- アイデンティティ(ネーミング、ロゴ等)
- 製品(デザイン、パッケージ等)
- コラボラティブ(イベント、体験)
- 環境(店舗、オフィス)
- ウェブサイト
- 人間(販売員、接客)
◆ 脱コモディティ化の方向性
- 感性的価値の強化(③方向)や新カテゴリー創造(④方向)によって、差別化を図る。
- ハイブリッドカーやスターバックスのように、使用や所有体験を通じて価値を再構築。
- 顧客は「製品を所有すること」でなく「使用による経験」に価値を見出す傾向。
◆ 顧客との価値共創
- 従来の「企業が価値を創出し顧客に提供する」から、「企業と顧客が共に価値を創る」視点へ。
- 顧客の購買前・購買中・購買後の接点において、価値共創の視点が重要。
- 価値の源泉は「製品」から「顧客の経験」へとシフト。