ブランド価値経営とは、ブランドを基軸とした経営やマーケティングのことを指します。これを実行していくためには、以下の3つの観点から企業活動を見直すことが求められます。
1. 評価軸の転換
目的:
ブランド価値経営を戦略的に進めるためには、「成果指標の転換(評価軸の転換)」が不可欠です。
旧来の指標(例) | ブランド価値経営で重視する指標(例) |
---|---|
売上・市場シェア・設備投資 | ブランドの成長性、顧客ロイヤルティ、認知・評価 |
要点:
- ブランドへの投資は成果が見えにくく、経営者の判断が難しい。
- 早期段階からの評価軸の変更と、その意義の社内共有が必要。
- 特にマーケティングや経営企画部門が主導して取り組むべき。
2. 組織構造の転換
主旨:
製品・サービス単位の組織から、ブランド単位の組織へと転換する。
従来の組織構造 | ブランド価値経営での構造 |
---|---|
製品別(例:チキンラーメン、マグヌードルなど) | ブランド別(例:カップヌードル、チキンラーメンなど) |
キーワード:
- プロダクト・マネージャー → ブランド・マネージャー
- ブランドごとに責任者を配置し、情報・戦略を集約
- ブランド志向を社内に浸透させる役割
3. 成長の枠組みの転換
旧来の成長ドライバー:
- 設備
- 土地
- 技術
ブランド価値経営での成長ドライバー:
- ブランド拡張(例:新カテゴリ参入)
- ライセンス供与(例:ブランド名の利用)
比較軸 | 従来型 | ブランド価値経営型 |
---|---|---|
成長の主体 | 設備投資、技術力など | ブランドそのもの |
収益獲得方法 | 製品・技術の販売 | ブランド名の貸与、ライセンス契約 |
リスク | 固定費・陳腐化リスク | ブランド毀損リスク(過度な拡張で希釈化する恐れ) |
推進のための具体策:
- ブランド使用ルールの明確化
- ブランド使用管理機能の設置(権限と専門部署の設置)
実践上の組織設計ヒント
管理単位 | 適性 |
---|---|
プロダクト単位 | NG:ブランドの視点が薄れやすい |
ブランド単位 | OK:ブランドの情報・方向性を一元化可能 |
おわりに
ブランド価値経営の本質は「ブランドという無形資産」を成長の中心に据えることにあります。そのためには、評価・組織・成長の3つの枠組みを見直す必要があります。