昔よく紹介されていた「資産四分法(株式・債券・不動産・現金に均等配分)」や「ドルコスト平均法(時間分散投資)」は、今でも有効な基本の考え方です。ただ、ここ20〜30年で投資環境や学術研究が進み、より洗練されたアプローチや前提条件が整理されてきています。
📖 1. 資産四分法の現代的アップデート
従来
- 株式・債券・不動産・現金を25%ずつ配分 → 「どれかが不調でも他でカバー」するリスク分散。
今の考え方
- インフレ対応が重要
→ かつては低インフレが前提だったが、今は「インフレに強い資産(株式・REIT・コモディティ)」が必須。 - グローバル分散
→ 日本一国では人口減少・低成長のため、全世界株式や米国株式を中心に組むのが一般的。 - リスク許容度に応じたカスタマイズ
→ 年齢や資産規模で株式比率を調整。「株式60%+債券30%+現金10%」など。 - 代表的な進化版:
- レイ・ダリオのオールウェザー・ポートフォリオ
- 米国のターゲットデートファンド(年齢に応じて自動調整)
📖 2. ドルコスト平均法の現代的アップデート
従来
- 毎月一定額を投資 → 高値で少なく、安値で多く買える。
今の考え方
- 長期的には一括投資が期待リターンは上(統計的に約7割は一括投資が有利:株式市場は右肩上がりだから)。
- ただし、心理的リスクを避けるためにドルコストを選ぶのは合理的。
- 最近は「一括+分割のハイブリッド」も推奨される。
- 例:余剰資金700万のうち300万は一括、残り400万は毎月分散投資。
📖 3. 近年注目される考え方
- ライフサイクル投資(Human Capital × Financial Capital)
- 若いうちは「将来の稼ぐ力(人的資本)」が大きいためリスク資産多め、年齢が上がるにつれて安全資産を増やす。
- ファイア(FIRE)ムーブメントと安全利率(Safe Withdrawal Rate)
- 「4%ルール」=資産を年4%で取り崩せば30年以上持つという米国研究。
- 日本では為替・インフレ・年金制度を考慮して「2.5〜3%」が現実的とされる。
- 因子投資(ファクター投資)
- 単なる株式インデックスではなく「バリュー株」「小型株」「モメンタム」などリターン源泉ごとに分散。
- ただし一般投資家にはインデックス一本で十分、という考えも強い。
- 行動経済学の知見
- 投資成果の多くは「商品選び」より「行動管理(売らない・積み立てを止めない)」で決まることが実証されている。
✅ まとめ
- 資産四分法 → **「オールウェザー型」や「ターゲットデート型」**に進化。
- ドルコスト平均法 → 一括投資と併用するハイブリッド型が主流に。
- 新しい考え方 → ライフサイクル投資・FIREの安全利率・行動経済学など。
- 本質は「長期・分散・低コスト」を守ること。