かけだしのIPに対して「いきなり全方位展開」は効果が分散しすぎて薄くなりがちです。
そこで、以下に 「段階的にIPを発展させていくためのステップ論」 として整理・体系化しました。
🔰【STEP 0】IPの“核”を磨くフェーズ(0〜初期ファン獲得)
小規模でも「好きになる理由」が明確な世界をつくる
🎯 目的
- 小規模でも「好きになる理由」が明確な世界をつくる
- ファンが語りたくなる「設定の余白」と「推しの起点」をつくる
やること
- 世界観がサーガ化している(ミニマム版)
→ 長期構想までは不要。「このキャラの過去や未来も見てみたい」と思わせる“奥行き”を残す - 考察・二次創作したくなる余白
→ 明かされない設定、謎めいたキャラ、断片的な記憶、未公開の手紙などを残す - 複数キャラによる“推し分散”
→ 主人公+2〜3人で「属性」「立場」「関係性」が異なるキャラを配置する
✅ やるべき具体アクション例
- 世界観やキャラクター設定をnoteやXに小出しに発信(物語を全て語らない)
- メインキャラ3人の関係性とビジュアルを公開し「誰推しか」投票コンテンツを設置
- ファンアート・考察投稿を歓迎するガイドラインを設ける(#タグ推奨も)
🎯目標:UGC(ファン創作)と口コミで“語りたくなる”初期ファンダムを醸成
🚀【STEP 1】能動的ファンダム化フェーズ(初期→コミュニティ形成)
“遊べる”構造を導入し、参加者がファンになる設計
🎯 目的
- ファンが「所有」「育成」「対戦」などで関与を深める構造をつくる
やること
- 対戦・育成などの能動性導入
→ キャラを集めて「戦わせる」「育てる」「並べる」「分類する」など参加体験を用意 - コレクション性(物理 or デジタル)
→ 初期はAR・NFT・アクリルスタンド・カードでも可。「揃えたくなる」導線を - マルチキャラ戦略の深化
→ 推しキャラごとのグッズ・性格診断・投票企画などを実装
✅ やるべき具体アクション例
- 登場キャラの属性カードを印刷物/デジタルで配布(トレカ形式でも可)
- スタンプラリーやARでの「キャラ集め」キャンペーンを地元と連携して実施
- 「推しキャラ人気投票」「絆レベルシート」などの育成・対話ツールを提供
🎯目標:ファンの“関与度”を高め、コミュニティやSNS上での可視化を狙う
🎥【STEP 2】メディアミックス基盤フェーズ(中規模→拡張段階)
世界観の多面展開に耐えるIPへ
🎯 目的
- IPをアニメ、書籍、舞台など多様な切り口で再解釈できる形に整備
やること
- マルチメディア展開に耐えるフォーマット設計
→ 「1つの物語」から「キャラ単体」「時代・舞台別スピンオフ」へ - 年齢層別の楽しみ方設計
→ 子ども向けアニメ、大人向け考察ノベルや舞台など「異なる深さ」を持たせる - 広義の人形玩具展開の検討(フィジカル展開)
→ 初期は可動フィギュアでなく、造形重視のスタチュー・ぬいぐるみも可
✅ やるべき具体アクション例
- キャラ別ショートストーリーを縦スク漫画で公開し、LINEマンガ・comico等に投稿
- 「前日譚ノベル」「舞台化脚本のプロト版」「ミニドラマ風動画」など複数メディア向け試作
- 地元イベントで音声朗読劇・紙芝居・展示を通じて別層へのアプローチを開始
🎯目標:IPの「再解釈・別メディア展開」に耐える設計を目指す
🏛【STEP 3】IPを“産業化”するフェーズ(中長期・広域展開)
持続性と代謝を前提に設計する
🎯 目的
- 他の作家や企業が「入りやすく・回しやすい」産業構造をつくる
やること
- 作者・クリエイターが交代可能な仕組み
→ 世界観・キャラ設定の「ガイドライン」や「法則」共有(スター・ウォーズ方式) - 懐かしさでUターンファンが戻れる設計
→ 初期ファンの“再訪”を意識したリメイク、周年イベント、復刻コレクションを企画 - 世界観の完全サーガ化
→ 時代/家系/組織などで横展開が可能な地図・系譜・歴史を明文化しておく
✅ やるべき具体アクション例
- 世界観やキャラクター設定の「制作ガイドライン」「二次創作マニュアル」を明文化・配布
- ライセンス体系を整備し、ロイヤリティ収益の地元法人への還元設計を行う(例:信託モデル)
- 地元の大学・専門学校と提携し、「自分の町で次のエピソードを描く」コンテストを実施
- 制作委員会方式で、続編・スピンオフの制作を複数団体にオープン化(マーベル式運営)
🎯目標:IPを“文化資本”として流通・代謝可能な状態に育てる
🧭 全体の成長戦略まとめ
A0 [STEP 0] 語りたくなる“核”づくり –> A1 [STEP 1] 遊べる・集めたくなる体験
A1 –> A2 [STEP 2] マルチメディアに耐える設計
A2 –> A3 [STEP 3] 産業化・他者参加が可能な構造
📌 補足:段階に応じて「やらないこと」も明確に
全てを最初から実装する必要はありません。むしろ、**各フェーズで何を「やらないか」**の判断こそが重要です。
- STEP 0で:物語を語りすぎない(余白を残す)
- STEP 1で:全キャラグッズ展開を焦らない(推しを育てる)
- STEP 2で:商業アニメ化・テレビ化を急がない(熱量が先)
- STEP 3で:閉じた世界観で完結しない(他者が入り込める余地を設ける)
このステップ論は、地方創生型IPだけでなく、個人制作・インディーズ系の創作IPにも応用可能です。